リサイクルに関する法律の中で、循環型社会形成推進基本法についてご紹介します。
■循環型社会形成推進基本法が制定された背景
循環型社会形成推進基本法とは、循環型社会、つまり、製品をリユースまたはリサイクルすることで廃棄物を減らし、廃棄物になったときは適正に処分されるような社会を構築するための、基本的な考え方と行動指針を示した法律です。
これまでに廃棄物処理法の改正や、各種リサイクル法の制定により、廃棄物・リサイクル対策について整備が図られてきましたが、●廃棄物発生量が年々増大している事、●廃棄物処理施設(最終処分場)の確保が難しくなっている事、●不法投棄件数が年々増大している事など、依然として問題は山積みとなっていました。
これらの問題を解決するため、「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の社会から脱却し、生産から廃棄に至るまでの物質の効率的な利用やリサイクルを進め、環境負荷の少ない「循環型社会」を形成する事を目的とした「循環型社会推進基本法」が制定されました。
■循環型社会形成推進基本法の概要
1.目的
循環型社会の形成に関する施策を総合的活計画的に推進し、現在および将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与する。
2.基本原則
資源を循環利用・適正処分するため、処理の優先順位を規定する。
@ 発生抑制(リデュース)
物品を長く使用するなどして廃棄物の発生を抑制する。
A 再利用(リユース)
いらなくなったものなどを、工夫して別の用途で使用するなど、再利用する。
B 再生利用(マテリアルリサイクル)
物品を原材料に戻して再生利用する。
C 熱回収(サーマルリサイクル)
再生利用出来ない物品は、物品を燃やしたときに発生する熱を再生利用のときなどに利用する。
D 適正処分
再生利用も熱回収も出来ない場合は、その品物に応じて適正に処分する。
3.国の責務
循環型社会形成について、基本原則に則った基本的・総合的な施策を策定し、実施する。
4.地方公共団体の責務
@ 資源の循環的で適正な再利用と処分を促進するために必要な取り組みを行う。
A 国との適正な役割分担を踏まえ、各区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、実施する。
5.事業者の責務
@ 事業活動において、原材料などが廃棄物にならないような措置をとる。
A 原材料などが循環的な資源になった場合は、自ら適正に循環利用し、または、循環的な利用が行われるような対策を取る。
B 循環利用出来ないようであれば、自ら適正に処分する。
C 製品・容器等の製造・販売を行う事業者は、その製品の耐久性向上や修理の実施、設計工夫や材質・成分の表示、循環資源になるものでは引き取りや引渡しを行い、再生利用や適正処分が行いやすくなるような措置をとる。
D 事業活動において、再生品を使うなど自ら循環型社会の形成に努めると同時に、国や地方公共団体が実施する施策に協力する。
6.国民の責務
@ 製品をなるべく長く使用し、再生品を使用するなどして、廃棄物発生を抑制する。
A ごみの分別を正しく行い、また、製品を廃棄物の引取を事業者に依頼する際は、適切に引き渡すなどして、事業者が行う循環型社会形成に努める活動に協力する。
B また、国や地方公共団体が実施する施策に協力する。