リサイクルに関する法律のうち、食品リサイクル法についてご紹介します。
■食品リサイクル法が制定された背景
近年の食生活の多様化により、食品に対する消費意識が大きく変わってきました。
過度の鮮度思考により、食品の生産・流通段階で大量の食品が廃棄され、また、消費段階でも大量の食べ残しが発生しています。食品廃棄物のほとんどは焼却・埋め立て処分されていますが、その最終処分場の残余年数の減少が深刻になっており、これらの大量の食品廃棄物が環境に与える影響は大きく、深刻な社会問題となっています。
この問題を解決するため、食品廃棄物の発生抑制と再利用を促す食品リサイクル法が平成12年に制定されました。
■食品リサイクル法の概要
1.目的
食品関連事業者(製造、流通、外食等)などから排出される食品廃棄物を発生抑制と減量させることで最終処分量を減少させるとともに、肥料や飼料等としてリサイクルを図ることを目的とする。
2.対象となる食品関連事業者と廃棄物
食品関連事業者について
・食品の製造・加工業者:食品メーカーなど
・食品の卸売・小売業者:百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、八百屋など
・飲食店および食事提供を伴う事業を行うもの:食堂、レストラン、ホテル・旅館、結婚式場、内陸・沿海旅客船舶など
食品廃棄物について
・食品の食べ残しや売れ残り、製造・加工・調理過程で生じたくず
※家庭から排出される生ごみは対象外
3.食品リサイクルの仕組み
まず、生産・流通・消費の各段階で食品廃棄物そのものの発生を抑制します。
次に再資源化できるものは肥料や飼料、油脂や油脂製品・メタンをつくる原材料として再利用します。
さらに廃棄されるものは、脱水・乾燥させて減量し、処分しやすいようにします。
4.食品関連事業者の責務
・製造、流通、加工の各過程において食品廃棄物の再生利用(発生抑制、再生利用、原料化)を実施する。
・年間の食品廃棄物発生量が100トン以上の事業者は、「判断基準」に従い、食品廃棄物の再生利用を促進する。
5.消費者の責務
・調理方法を改善するなどして調理くずや食べ残しを防ぐ。
・食品廃棄物を再生利用した製品(肥料や飼料)を使用する。
6.国や地方公共団体の責務
・食品廃棄物の再生利用(発生抑制、再生利用)を促進させるための施策を実施する。